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”Fall is the best season for art.” at Total Academy 2024 作文紹介
”Fall is the best season for art.” at Total Academy 2024の開催に及んで、生徒達に作文をほぼ強制的に書いて貰いました。生徒達が書いてくれた作文をホームページ上でも紹介しようと思います。生徒にやらせる以上、やらせた本人である僕も書きましたので、まずは塾長の作文から掲載し、生徒の作文は、カエルの「基本にかえる!?」の掲載記事としてひとつひとつ紹介しようと考えています。先陣を切る塾長の作文ですが、すぐすぐではありませんがパソコンを買い足そうかなと考え中に作文のアイデアとして浮かんだものです。現在も固定モデルかBTOモデル(カスタマイズモデル)にしようか、はたまた、思い切って自作PCにしようかと色々と思案中であり、まだ悩んでいる最中です。その中で、関連する動画を見たり、WEB上の記事を読んだりして、勉強してみました。それでは、お読みください。
必須になるGPU(グラフィックボード)
「GPU!? GPS!? それは何なの?乗り物?食べ物?美味いの?不味いの?いや、どこかのアイドルグループか?知らないんですけど!!」などと思った人も多いことだろう。斯くいう私も、コンピューターに関しては、素人レベルなので、数ヶ月前まではそのレベルであった。直ぐにパソコンを購入するわけではないが、色々調べた結果、今後AIが発展、発達して行く近未来において、GPUの必要性、いや必要を越えて必須であることを理解した。正直なところ、パソコンはCPUの性能、メモリーとCPU直結のSSDの性能と容量が高ければ、高性能のパソコンであると思っていた。恥ずかしながら、GPUとは何ぞや?というレベルであった。今回、そのGPUの重要性を記したいと考えている。
CPU、GPUなどパソコンの専門用語が並んだので、まず、それらについて説明する。パソコンの構成を人間の身体やその機構や動作として表現すると、CPUが頭脳、マザーボードが神経、メモリは良く作業台として例えられるが、短期記憶と例えられる。SSDはストレージ(記憶装置)であり、Solid State Drive(ソリッド・ステート・ドライブ)の略である。ストレージとして、主にこのSSDとHDDが使用されている。HDDはHard Disk Drive(ハード・ディスク・ドライブ)の略であり、大容量のデータを保存するのに適している。しかし、情報の伝達スピードが圧倒的にSSDの方が速いため、パソコンを快適に使用するには、SSDをCPU(頭脳)と直結のストレージ(記憶装置)として設定しているのが現状である。
そして、ここから肝心のCPUとGPUの違いを解説する。
CPUとは、Central Processing Unit(セントラル・プロセッシング・ユニット)の略で、中央処理(演算)装置を意味する。前述した通り、コンピューターの頭脳として機能しており、逐次計算からデータベースの実行まで、幅広い処理を行う。個々のタスクを集中して処理する連続的な演算処理能力に長けているのが特徴である。言わば、人間の脳と同じで多くのことを同時に行うわけである。
GPUは、Graphics Processing Unit(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)の略で、画像処理装置を意味する。映像を処理するパーツであるが、人間に例えると、網膜に写った光の情報を視神経を介して、脳で処理して映像を創り出す能力となる。実は、人間には映像を創り出すことを個別に行う器官は存在しない。目に例える人もいるのだが、目は光の情報を受け取る器官であり、目自体が映像を創り出しているわけではない。目にも脳にも例えられないので、GPUはややこしい存在なのは確かなことである。人間の器官で例えるのは不可能だが、能力で例えるなら「絵を描く能力」というのが一番しっくりとくるのではないか。
GPUで処理した映像をモニターに映す。このモニターに映された映像を見て、私達は動画を見たり、ゲームをしたりするわけである。要は、CPUの目的は汎用的な処理を行うこと、GPUの目的は高速な画像処理を行うことである。このことを念頭に置いて以下を読んで頂ければ幸いである。
実は、GPU=グラフィックボードではなく、本当は、グラフィックボードとはGPUチップを搭載した基板(ボード)であり、その基板をパソコンのマザーボードに取り付けることで映像を写すのである。
このGPUであるが、画像を処理するということは膨大なデータを瞬時に計算する必要があるため、ビッグデータを処理するのにも適している。
例えば、ゲームでも動画でも、モニターに写るものは、パラパラ漫画と同じ仕組みである。フレームレートという言葉はお聞きになったことがあるだろうか?Frames Per Second(フレーム・パー・セカンド)の略で、1秒間の動画が何枚の画像で構成されているかを示す単位のことである。因みに、日本のテレビ放送は30fpsであるため、その程度の数値であれば違和感なく観ることができると言われている。4K、8Kの高画質、スポーツ、花火、風になびく髪など一瞬を捉えた映像は、このフレームレートを上げる必要がある。一般人が手にする動画撮影可能な機材なら、現状120fps程度が最高値と考えてよい。勿論、特殊なカメラを利用すれば数千〜数百万fpsで画像を捉えることができる。ここで、4K120fpsというものを考えてみよう。「4K」とは、これまでのフルHD(1920×1080)の縦2倍、横2倍にあたる 3840×2160の映像を表し、この解像度は、フルHDの約207万画素に対して約829万画素とおよそ4倍にあたり、これまでの映像よりきめ細かな映像を表現することができるようになったわけある。4K120fpsとは、この4Kという大きなデータ量の1枚の画像を1秒間で120枚用意して、動画にしているということである。動画の長さが30分だったら、120×30×60=216,000枚の高画質画像をパラパラ漫画の要領で展開するわけである。只、ゲームや動画においてごく短い時間の複数の画像に大きな違いがあるかというと、実はそうでもない。0.1秒の間に背景やゲームのキャラの位置が大きく変わるわけではないからだ。だから、枚数は膨大であるが、単純計算を超短時間ですることで処理ができるのである。逆に言うと、単純計算、単純処理だからこそ、超高速で演算を実行できるわけである。
「瞬時にビックデータを処理できる。」この言葉が、近未来のAIの発展とGPUが密接に関与することを示唆しているわけである。
大量のデータを速く処理するために、GPUは独特の仕組みをもつ。その特徴は、並列処理能力に優れていることで、複数のタスクを一度にこなすことが可能となる。GPU内部でコア(命令を処理する装置)が連携して動作することで並列処理が行えるため、CPUに比べて圧倒的な処理スピードを出すことができる。その差は、行列演算の処理スピードがCPUの10倍とも言われている。しかし、単純計算に特化しており、幅広い処理には向いていない。
幅広い処理をするCPUにも複数のコアが存在するが、並列処理は不可能で、基本的にはひとつのコアでひとつの命令しか処理できない構造になっている。多くの処理をするには、この構造が適していて、通常コンピューターは、CPUが連続的にタスクを行い、幅広い処理をすることで機能するわけである。しかし、膨大な単純作業が必要になることがある。画像などのデータ処理などの膨大な単純作業をCPUだけに任せていると、他のタスクが終了するまでに時間を要してしまい、所謂、重い状態となり、パソコンを快適に使用できなくなる。そこで、GPUに膨大な単純作業を任せるわけである。つまり、CPUとGPUは、協力し合ってコンピューターを動かしているのだ。実は、多くのCPUがGPUを内蔵しているのであるが、その場合、単独のGPUと比較すると性能は大きく落ち込んでしまう。しかし、高度な画像処理、音声処理、動画処理などGPUの性能が大きくものを言う作業をしなければ、充分な機能のパソコンであると言える。
パソコンレベルだけでなく、スーパーコンピュータの多くはGPUが搭載されており、気候の変動予測、画期的な治療法を見つけるための解析、地震予測など、私達の生活に密接する問題にも役立っている。そして、計算能力だけでなく人工知能(AI)関連の処理をも支えている。
ここまでで、GPUの将来性を理解して頂けたと思う。GPUのメーカーと言えば、NVIDIA(エヌビディア)が最大手であるが、一般的にはあまり知られていない企業だと思う。先程、ゲームはパラパラ漫画と同じ仕組みであると述べたが、NVIDIAの最近のGPUには、ゲーム中、AIにより画像を作成し、パラパラ漫画の枚数を増やすことで、画面の動きを滑らかにする機能をもつものもある。この機能はゲームに留まるものではなく、自動運転システムの開発やディープラーニング研究、人工知能研究にも適用できるものである。ディープラーニング(深層学習)とは、音声や画像、テキストなどの膨大なデータを高速でコンピューターに学習させて、その意味を把握させる機械学習の手法の一つである。GPUを使うことで、1年程かかるディープラーニングの処理が1ヶ月程度に短縮することができ、開発効率を飛躍的にあげることが可能になるわけである。
例えば、自分が経営する会社の過去の売上や営業成績、給与体系などを学習させることによって、人工知能であるAIが今後の経営方法のアイデアを、しかも利益を持たらす確率が高いアイデアを提案することも将来的には期待できるのである。今や、人工知能開発やディープラーニング研究においては、GPUは必要不可欠な存在となっているのだ。
実際に、トヨタだけではなく、フォード、ボルボ、メルセデス・ベンツ、アウディ、テスラといった世界の錚々たる自動車メーカーが、すでに自動運転システムの分野でNVIDIAと提携済みである。それは、ディープラーニング研究の延長線上には、自動運転システムの開発があるからである。ここ5年間でNVIDIAの株価が15倍以上となったことも、GPUの必要性、重要性を示していると言えるだろう。
このように、コンピューターの部品の1つであるGPUだが、近年IT業界以外でも耳にする機会が増えている。交通インフラや製造、建築、医療、金融、教育など実に多くの分野でGPUが利用されているのだ。
以上、GPUの素晴らしい面に言及したが、難点があるのも事実だ。一般的なCPUの大きさが大体5㎝四方の板状であるのに対して、GPUは10㎝×30㎝×3㎝程度、中には長さ約40㎝となるものもある。この筐体の大きさも難点のひとつだ。そして、大量のデータを高速で並列処理を行うため、どうしても熱を帯びてしまう傾向にある。GPUの温度が高くなると、処理能力が落ち、それを避けるために冷却装置が必要となる。その冷却装置を稼働するには消費電力も大きくなり、冷却装置が排熱するために、ファンを回転させ、発する音もうるさくなってしまう。因みにCPUの消費電力は100W前後であるが、GPUは製品にもよるが400Wを越えるものもある。高性能なものほど消費電力が大きくなるのはCPUもGPUも同じであるが、2倍以上の差になり、パソコン全体で1000W越えの電源を設置しなければならないとなると少し考えてしまう。(勿論、常時1000Wを消費するわけではないが・・・)
そして最大のネックが値段である。個人が扱うレベルのパソコンにおいてCPUの最新で高性能のものが約10万円、GPUは約40万円である。確かに、こんな組み合わせでパソコンを購入する人は、画像処理のプロなどと限られた人であるが、所謂ミドルクラスでは、CPU3〜4万円、GPU6〜8万円と言ったところだ。その他、マザーボード、メモリ、SSD、パソコンケース等のパーツも必要となり、モニター、キーボード、マウス等を合わせると、最低20万程度にはなってしまう。
上記のことは、個人での話であるが、企業になると当然、この金額では済まない。現在、最高額のGPUが500万円とか600万円とか言われている。複数のGPUを搭載すると性能は高くなるわけであるが、500万円超のものを複数購入するとなると、小規模の企業では英断が必要であるだろう。又、GPUが増えるごとに消費電力は上がり、温度管理も困難になる。そのため、冷却装置にも費用が掛かってしまう。そう考えると、小規模企業で導入するのは、ハードルが高いと言える。
しかし、これらの難点はGPUの開発が進めば解消されるだろう。GPUが私達がもつスマホ、パソコンだけでなく、自動車や家電にもGPUが搭載されるようになり、私達個々の生活パターン、癖、好みなどを学習させれば、個々に適合したより便利で豊かな生活を手にすることができ、GPUがもっと身近になるだろう。そうすれば開発、販売、利益の好循環により、筐体の小型化、低発熱化、低消費電力化も進み、小さくてエコで高性能なGPUが安価に手に入るようになるだろう。
GPUには、近未来の安心、安全、希望を見ることができると断言する。
学習塾Total Academy塾長 齋藤勉