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いきなり「ベクトルは大きさと向きを持つ」と言われても、なかなかイメージできない。「実は、中学の理科で、力を矢印で表しただろ?あれがベクトルだよ。」って言われて、何となくわかったような気になる。でも、それじゃ、ベクトル計算を理解できない。では、ベクトルとは何のなのか?これを説明しましょう。
ベクトルとは、平面でも空間でもどちらでも良いのだけど、2点のズレを表すものなんですよ。基準になるの点が始点、比較する方の点が終点なのね。矢印で表すと根元が始点、矢印の先端の尖ってるところが終点。位置を表すのに、座標を使うと便利だよね。xy座標平面で、始点をA、終点をBとすると、点Aを基準にして終点の点Bがどれだけズレているのかを座標成分(小学生にもわかるように言うと右に何マス?上に何マス?)で表したものが、ベクトルの成分となるの。始点を基準にして終点とのズレを考えているので、ズレの表すのは当然、引き算なんだけど、終点-始点(比較-基準)の引き方をしてね。下の図を参考に。
<ベクトルの特徴>
- ベクトルは2点のズレを表す。
- そのため、平行移動可能。
- そのため、回り道自由
- 和・差・実数倍の演算は、成分毎に計算する。
成分の計算自体は、数値計算とほぼ同じ。ベクトルの演算と実数の四則演算で大きく違うのは、以下の4つ。
①ゼロの扱い。
実数で0というのは「無」何もないと考えて良い。無とは?を考えると哲学の世界になり、終わりがないので、ここでは「存在しない」とするね。ところが、ベクトルでのゼロは、零ベクトルというのだけど、存在しないということではない。始点と終点のズレがないということなの。つまりは、点を表すの!そして、零ベクトルは、どんなベクトルにも垂直に交わると定義されている。これは、ベクトルの内積のお話を後でするから、そのとき話すね。
②1の扱い。
1という大きさを基準にして、大きさが1のベクトルを単位ベクトルというわけだけど、実数の場合、数直線上で原点からの距離が1である点は±1と2点あるけど、単位ベクトルは方向は関係なく大きさが1ということだから、無数に存在する。
③ベクトルの掛け算には二通りある。
内積と外積(外積は高校数学の学習範囲外)の2つ。これについては、前述した通り後日に。
④ベクトル同士の割り算はできない。
実数だと割り算は逆数をかけるのと同じになるけど、ベクトルの場合、逆ベクトルをかけても内積だろうが外積だろうが割り算を意味するものにはならない。実数なら正負はあるにしても一直線上の話なので割られるものが割るものの何倍なのか?が割り算の意味になるけど、ベクトルとはあらゆる方向を考えるので、その割り算の結果に意味を持たせるのは無理だし、そもそもその方法がない。でも、ベクトルをベクトルの絶対値で割るのはありですよ。それは大きさが何倍なの?を求めているから。方向性が違う2つものを比較しても、それに絶対的に正しい結論は出せないでしょ?イチロー選手と松井秀喜選手と山田哲人選手を比べても、ポジションも違うし、打者のタイプも違うし、何なら時代も違う。精度の高い比較は、OPSとかUZRとか指標を使えばできるけど、それが誰もが認める絶対に間違いないのない正しいものではないからね。勿論、参考にすべきものではあるけど。(OPSとか野球に興味がない人は無視してOK)
実数の世界とベクトルの世界は少し違うのよ。って理解してね。次回は、内積の説明。