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「勘と閃き」どちらも天才だけのものじゃないと思う。あることをずっと考えたり、見続けたり、修練していれば、勘は養われる。これは、僕の経験値の蓄積による傾向分析の結果だ。僕が思う勘というのは見当違いや当てずっぽうのものではなく、ある程度の根拠を持つもの。理論と真逆ではなく、理論に寄り添ったもの。閃きは、突然、頭に降りてくるもの。これも、そのことをずっと頭の中に置いておくと、何かの拍子に、前触れもなくやってくる。
勘と言うものは、結構な割合で失敗や間違いを導いてしまうものだと思う。引き出しの多さとその引き出しを時と場合で的確にタイミングよく開くことが、勘が良いということだと思う。勿論、生まれ持ったセンスというものもあるし、今まで見えなかったものや感じなかったものが、経験によって見えて来たり、感じられるようになることにより、勘が当たる確率が上がるのだと思う。では、勘が役に立つレベル、ある程度信用できるレベルまで引き上げるには、どうしたら良いのか?それは、理に適った正しい経験を積むことです。自分がやった事に対して、ある程度の説明が付けられるようにする。これを意識して行動することです。自分がする行為・行動がいつも正解だとは限らないし、失敗することもある。正解に辿り着いたら、その過程を、失敗したら、その原因を、自分なりに解説できるレベルまで分析することを繰り返すことです。そうは言っても、最初からそれは出来ない。まずは、上手な人の真似をして、「この人のここが良い。」と、ダメな人を見て下手だな~と思うのではなく、「ここが悪いから、良くない結果になってしまう。良くなるためには、ここを修正して行けば良い。」と考えてみることです。学習の話で言うなら、学校や塾の授業では、講師の解き方を、まずは真似ればよい。問題集の解答を真似て、自分で解答を作ってみれば良い。その中で分からないことは、誰かに聞けば良い。そして、理解を試みるのです。
只、理解と言うのは、その時に出来ないこともある。当人がそのことを理解できるレベルに達しているか?ということが前提にある。理解できるレベルなら、考えて、整理して、自分なりの言葉で、正しく解釈すれば良い。例えば、中学の公民で習う「衆議院の優越」。法案の場合、衆議院と参議院が異なる議決をした場合、衆議院で出席議員の2/3以上の賛成で再可決したら、法案成立。予算の議決、条約の承認、内閣総理大臣の指名は、衆議院と参議院が異なる議決をし、両議院協議会でも一致しない場合は、衆議院の議決が国会の議決となるわけだけど、「法律は慎重に考えないとダメだから、衆議院で2/3以上が必要なのね。それに対して、予算の議決、条約の承認、内閣総理大臣の指名に関しては、緊急性があるから、衆参で揉めている場合ではないので、衆議院の議決=国会の議決ね。」みたいに自分の言葉で理屈付けして覚える、理解することを積み重ねて行けば良いですよ。理解できないレベルなら、それ以前の内容に戻ってやり直すか、分けわからなくても暗記してしまうことです。学習というのは「暗記」と「理解」で形成して、「実践」で確認して行くものです。「理解」の部分で劣っているなら、「暗記」でカバーするしかありません。そのときは理解できなくても、暗記による知識の増加で、後に理解できるということは良くあることです。僕も、実は、高1.2と全く勉強していなかったので、高3の春の授業なんてひとつも理解できなかった。言葉は悪いけど「バカは考えてもダメだ。とにかく全部覚えよう!」と自分に言い聞かせて、それを実践しましたよ。一ヶ月、二ヶ月経つと、「先生は、この間、覚えたあのことを言ってるのね。これはあれを使っているのね。」とか、理解できるようになって来ましたよ。でも、どうしても頭や心に引っ掛かり、前へ進みにくくなったときは、誰かに聞きましたよ。因みに、講師は、教え子が質問してくれることに喜びを感じるものですよ。質問に対して、「何でこんな事がわからないのだ?」と言う人は基本的には講師失格です。だから、皆さんもどんどん質問して下さいね。
ちょっと、「勘」から話が逸れたので戻しますね。
The girl has a cute cat.の英文があったとするね。これを訳してと言うと、「その少女の飼っている猫は可愛い」と訳す中学生がそこそこいる。確かに間違いではない。この英文の意味はそういうことだからね。でも、主語は猫(a cat)ではなく、その少女(the girl)だからね。「その少女は可愛い猫を飼っている」と訳して欲しいわけです。意訳がダメと言ってるわけではない。文の構成がきちんとわかっているなら、分かり易い日本語に変換することは、どんどんして欲しい。只、これを「その少女の猫は可愛い」と訳す中学生のほとんどは、単語の意味を適当に繋げているだけで、主語、動詞、目的語が何か?この単語の品詞は何か?なんて全く意識していない。だから、この程度の英文なら意味がわかるけど、The girl with long hair has a cute cat.とかなると、「その少女の猫は毛が長くて可愛い」とか「彼女は毛の長い可愛い猫を飼っている」とか訳してしまうわけです。因みに、この英文は、「長い髪の毛のその少女は可愛い猫を飼っている。」が正しい意味だよね。もう少し、突っ込むとwithというのを「~と一緒に」という意味だけで覚えてしまうと上手く訳せない。withには色々と意味があるけど、この場合は「~を伴う…」とか「~を持っている…」とか所有・様態を意味することを知っていないといけない。そして、with long hairが後ろからThe girlを修飾している(後置修飾)ことも知っておく必要がある。ここまでの知識があれば、間違いなくこの英文は訳せる。じゃあ、勘についてこの英文で解説するね。仮に後置修飾を知らなくても、動詞がhasだから、その後ろが目的語、『「可愛い猫を飼っている」ってことだろう?あとは、ここに主語を付ければ良いから…』って考えれば、正解に辿り着く可能性は近づくよね。僕は、このことを勘と言っているんですよ。根拠があるのとないとでは、例え同じ結果でも、後々のことを考えれば雲泥の差になりますよ。だって一方は、修正できるものがあるけど、もう一方は何もないんだもの。
では、「閃き」。天才は別として、これは、何もしない人には降りてこないよ。そのことに対して、真摯に向かった人にしか与えられないものですよ。まだ、君達は、経験がないかもしれないけど、あることに対して、「何とかならんものかな~?こっちの角度から攻めるとどうだろう?この道具を使うと?いやいや、全ての先入観を消して、フラットに考えてみよう!今は、一旦このことは頭の片隅に寝かせておいて、他のことをとりあえずやろう!」とか、色々考えたりすると、頭の中で光るのですよ。あと、感性も必要だと思う。見たもの聞いたものに対して、自分はどう感じたのか?と自分に聞いてみることは大切だと思う。因みに、僕は、閃きを期待して物事を考えたときはないですよ。だって、いつ降りてくれるかわからないものですからね。そういうことなので、君達もテスト中に、「閃き」を期待してはいけませんよ。
勘は、そこそこの確率で間違った方向に行きます。正しい方向に勘を向かわせるには、正しい知識と考え方が必要です。閃きは、突然、やって来ます。それは、正解であることがほとんどです。閃いたことは、可能であるなら実践した方が、絶対良いですよ。何事もそうだけど、理想の形は「理性と野生の融合」だと思う。野生の部分である勘や閃きをを育てるには、天才君でなければ、理性、理屈の部分を疎かにしてはいけないと思うの。理屈ばっかりの人間でもつまらないし、勘や閃きだけだと危なっかしいし、やっぱり目指すは「理性と野生の両方がある人間」だと思いますよ。