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中学生の場合、この電気回路を苦手としてる生徒は多い。多分、目に見えない世界のことなので、脳内でイメージできないんだと思う。電流=水の流れと例えて話すと、ある程度は、イメージできるようだけど、電荷というものが何なのか、教わっていないし、中学生の教科書じゃ、電流とか電圧とかの定義の説明をきちんとしていないから、そりゃ、イメージしろ!っていうのは、難しい話になる。球筋をわかっていないのに、切れ味鋭いスライダーを投げるピッチャーに対して、「決め球のスライダーを狙って、一振りで仕留めて来い!それが4番の仕事だ!」とアドバイスするアホ監督やバカコーチの熱弁を聞かされているのと同じで、「何を言ってるの?この人。」ってなるよね。そんなわけで、中学生範囲のおさらいも含めて、説明ね。
電気回路というのは、電荷が絶えず循環している状態であり、その電荷の担い手が自由電子なのね。だから、この電子の流れを水に例えることが多いわけね。水は、重力によって高い所から低い所に落ちるよね。(位置エネルギーが減少する。)この落差を生じさせるものが、電気回路では「負荷」というの。抵抗やモーターやコンデンサーやコイルなどが、この負荷という回路素子になるの。そして、負荷によって生じた落差を電圧降下(位置エネルギーの減少分)というわけね。
水を循環させるには、水が落ちた高さ分だけ、ポンプで汲み上げなきゃならない。(落下による位置エネルギー減少分を増加させて元の位置エネルギーに戻す。)この汲み上げる能力を持つ回路素子が「電源」なの。電源の汲み上げる高さが、起電力の大きさというわけ。
ここで、ちょっと言葉の定義の整理。
- 電位…基準点からその点まで、電場に逆らって電荷をゆっくり運ぶのに、単位電荷当たりの必要な仕事。(電場の中での、単位電荷当たりの位置エネルギー)
- 電位差…電位の差
- 電流…単位時間にある断面を通過する電荷(電気量) [A]=[C/s]
電流計は、通過する電荷を測定するものだから、直列に接続するわけね。
- 電圧…単位電荷当たりの位置エネルギー [V]=[J/C]
電圧計は、落ちた高さを測定するものなので、並列に接続するわけですよ。
以上から、電力P=VIの単位を考えると、[V・A]=[J/C・C/s]=[J/s]=[W]となり、電力は仕事率の単位と同じになることがわかるよね。これから、抵抗により発生するジュール熱(抵抗が単位時間当たり発生する熱量)は、オームの法則V=RIなので、P=RI・I=RI2=V2/Rとなることがわかるね。
では、また電気回路についてのお話を。閉じた回路(閉回路)では、当然だけど、電流は汲み上げた高さ分しか流れ落ちることしかできない。これを言ってるのが、キルヒホッフの第2法則なの。つまり、任意の閉回路において、「起電力の大きさの和=電圧降下の和」が成り立つ。
回路の枝分かれする点(分岐点)では、水が絶えず循環するとき、入って来る水量=出て行く水量の関係が成り立たないと、水が溢れ出てしまうか、不足していつか枯渇していまうことになるよね。これが、キルヒホッフの第1法則なの。すなわち、回路の分岐点で、「流入電流の和=流出電流の和」。つまり。電荷の保存を表してるのね。
因みに、オームの法則、ジュール熱の公式は、実験的にオームさんとジュールさんが、それぞれ1827年、1840年に発見したもの。数学的には、近似式になるわけね。金属やその他、電気を通す物質は、温度によって、原子や分子の熱振動の様子や度合いが変わるので(温度が高いと熱振動は大きくなる。)正確には、1次関数や2次関数で表せるものではないけど、まあ、問題ないでしょ!っていうことにしているわけね。もっと厳密に考えたいのであれば、テーラー展開やマクローリン展開を考えて3次、4次…を考える必要があるのね。これに関しては、大学の数学になるけど、折角だから、数学公式のところで、やりますね。(電磁気学の話が終わったらね。)
はっきり言って、直流回路の問題は、キルヒホッフの第1・2法則、オームの法則、ジュールの法則、コンデンサーの充電完了時の電荷と電気容量の関係(Q=CV)、コンデンサーが充電途中または放電しているときは、電流が単位時間に通過する電荷なのでI=dQ/dtの関係であることがわかっていれば、ほとんどの問題に対処できるはず。未知数の数だけ方程式を立てて、それを面倒臭がらず解けばいいの。だからこそ、計算力がないヤツは理系ではないのよ。紙と鉛筆を使ってカリカリすることです。僕は、現役のときは、勉強は、全てボールペンを使っていた。さすがに、テストのときだけは鉛筆だったけどね。紙は、理系担当の先生のところに行って、プリントミスした用紙を大量に貰って、そこでカリカリと計算していたよ。ボールペンを使ったのは、これだけ勉強したんだというのを残すため。終わったボールペンは、引き出しにまとめてしまっておいて、時たま、そいつを覗いて、良くここまでやったな!と自信を持つための手段にしてましたよ。今現在、そのボールペンは、捨てちゃったけど、片手で掴んで、こぼれ落ちそうになるくらいはあったと思うよ。兎に角、計算は、手を動かして書かなきゃダメよ。
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