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物理を受験科目とする受験生への簡単なアドバイス(初級編)
物理を受験科目とする人への根本的なアドバイス
前回、化学の勉強方法について、書きましたので、今回は、物理について書きます。まだ、化学の勉強を始めて間もない人に向けた大雑把なアドバイスです。興味のある方は読んでみて下さい。レベルの高い、細かな話は、ここではしません。
物理は、理解するまでのハードルが高いけど!
物理、漢字の如く、「物のことわり」です。理屈、メカニズムの理解を正しくする。これをまず、しなければならない。力学だろうが、波動だろうが、電磁気学だろうが、熱力学だろうが、原子論だろうが、それは同じです。正直、このハードルがなかなか高い。時間が掛かるのです。1回、教科書を読んだ、1回授業で聴いたくらいじゃ、ちゃんとした理解はできない。自分の頭で、ある程度時間を掛けて、解読する必要がある。この作業は、他教科でも行うけど、物理は圧倒的に、ここに時間が掛かる。だから、難しいと感じてしまう人が多々いるのも事実。向き不向きもあるので、この作業を好まない人は、無理に物理を受験科目にする必要はないと思うけど、理系の場合、ほとんどの学部、学科で、物理と関わるのは事実です。だって、「物のことわり」ですから。だから、まずはこのハードルを乗り切りること!一度、乗り越えれば、あとは何とかなります。だって、ここが一番高いハードルですから。暗記する量の少なさは、他教科に比べれば半分以下です。只、言葉の定義が大事なのは、理系科目に共通することで、この共通認識で物事を見て行く、考え行くというスタンスを取っている学問なので、ここは曖昧にしてはいけません。
そして、もう一つ。計算力がないとお話になりません。「数学ができるからと言って、物理ができるとは限らないが、物理ができれば、数学もできる。」と言われるくらいです。文字計算が、慣れないうちは、厄介だけど、あれは慣れてしまえば、実は、数値計算より扱いやすくなります。あれは、慣れです。問題を解いて、カリカリ計算するうちに、計算力は嫌でも着きますから、心配ご無用です。
どんなことを意識しながら勉強すると良いの?
では、どう考えると理解しやすいか?いや、どう意識すると良いか?を話して行こうと思う。高校物理は、①力学、②熱力学、③波動、④電磁気学、⑤原理論に分けられる。まずは、これらの話に入り前に、「場」と言う言葉をある程度、理解しておいた方が良い。大雑把に言うと、物が存在すると言うことは、質量、電荷などが存在することになるので、それに、そのまわりの空間が作用を及ぼす。物体に作用を及ぼす空間が「場」というもので、力学は、地球が存在して、地球の重力と大きさが、地球上の物体に及ぼす「重力場」の中での話。高校物理の力学のほとんどは、実は、地球上の話をしてるだけなんです。電場(電界)、磁場(磁界)も、空間に電荷が存在していれば電場が生じ、その電荷動いていれば、磁場(磁界)が生じるのです。だから、電流が生じると、磁場(磁界)が生じるわけです。要は、物が存在すれば、作用反作用が生じるので、そこに「場」ができると、目には見えないけど、思って下さい。それでは、簡単に、各分野ごとに話していきます。
力学の話
力学こそ、物理の基本!
力学は、他の分野を理解する上で、ベースとなります。力学が出来ないと、高校物理の他分野は、はっきり言って無理です。逆に、力学が出来れば、他分野の理解は、格段とし易くなります。まずは、時間が掛かっても良いので、この力学の分野をしっかり理解しましょう。何度も言っていますが、言葉の定義には絶対に従って下さい。この定義が重要で、あとは数学の知識があれば、公式なんて無理矢理暗記する必要はありませんから。例えば、力積と運動量の関係、位置エネルギーと運動エネルギーと仕事の関係などは、「力積が単位時間に物体に働く力。」「仕事は物体に働く力と物体の変位のベクトルの内積。」とその定義を知っていれば、公式は導き出せます。そして、関係性が理解できます。絶対に、自分の手を動かして、公式を導き出すことをして下さい。
運動の三法則である、慣性の法則、運動方程式、作用反作用。保存則である、運動量保存則、エネルギー保存則。これらの式を立てて、問題を解くのがほとんどです。あとは、円運動や惑星運動では、慣性力である遠心力を考慮すること。(正確に言うと、慣性系が何なのか?を理解しておくこと。)惑星運動では、万有引力の法則とケプラー法則(特に第二法則)を使うこと。ケプラーの第二法則も、面積速度一定という角運動量保存則なんですけどね。要は、運動方程式と保存則について式を立てる。そのとき、作用反作用の関係、慣性力に気を付けて、物体に働く力を物体ごとに図示して、運動方程式は物体ごと、成分ごとに立てる。これさえ守れば、あとは計算力と慣れの問題です。
物理の問題は、最初のうちは自力で解くのは、難しいです。ウチの塾でも、最初から、問題をスラスラ解ける生徒は過去も現在もいません。だから、考えてもらって、手詰まりだったら、目の前で、その問題を僕が解きます。そのときに「解答見ると、物理は騙された気分になるし、どうして当たり前に考えてやるだけなのに出来ないんだ!と感じてしまうけど、いちいち落ち込むな。最初は、時間が掛かる。だけど、力が着いて、ある一線を越えると、自力で楽々解けるようになるから!」と生徒に言います。本当に、物理はそういう科目なのです。
熱力学の話
熱力学も力学の延長
力学の話が理解できていれば、正直、熱力学は難しくは感じないはずです。熱力学は、温度とは何か?比熱とは何か?熱容量とは?これらの定義が重要です。そして、理想気体の状態法方程式と熱力学の第一法則を頭に入れること、ここまで出来ていれば、気体の変化は、あとは条件に合わせて計算するれば良いだけで、公式なんて覚えなくても対応できます。問題数をこなせば、自然と出来るようになりますよ。そして、出来れば、理想気体の状態方程式は導き出せる様にしておいて欲しいです。
波動の話
波動は、物理分野の中でも別物
波動は力学と違って、別物として考えた方が良いと思います。勿論、深い関係性はありますけどね。まずは、波の要素である振幅、波長、振動数、周期、波の伝わる速さが何のなのか?この認識をしっかりすること。力学のところでも言ったけど、言葉の定義は絶対です。波の伝わり方のメカニズム。媒質(波を伝える物質)の速度と波自体が伝わる速度の違い。ホイヘンスの原理。屈折の法則。固定端と自由端の違い。反射による位相のズレ。波の重ね合わせの原理。ドップラー効果。これらのことを一つ一つ、きちんと理解すること。これが出来れば音波だろうが、光波だろうが、難問でない限り、解けてしまうはずです。確かに、これらのことは、独学で理解するのは大変だし、時間も掛かりますが、理解しないとダメなんです。だからこそ、物理は、学校の先生や塾の先生などに、どんどん質問して、教えを乞いて、効率良く勉強する必要があります。
電磁気学と原子論の話
電磁気学は力学の置換。原子論は、今までの話の総合。
電磁気学では、質量を電荷に、加速度を電場に置き換えれば、力学と同じです。そして、何度も言いますが、言葉の定義です。電流、電場、電位、電圧の定義は勿論、電気回路の負荷である、抵抗、コンデンサー、コイルのメカニズムを必ず理解しておきましょう。そうすれば、直流回路だろうが、交流回路だろうが、キルヒホッフの第一・第二法則と電気量保存則、エネルギー保存則を使って式を立てて、解くだけです。簡単に言うと、キルヒホッフの法則が運動方程式とすれば、運動方程式と保存則を考える力学と同じようなものです。只、電気と言うのは、目に見えないので想像しにくいだけの話です。そして、原子論は、力学、波動、電磁気学の理解があれば、少しだけ量子論という新たな知識はありますが、それほど苦労なく理解はできるでしょう。そして、放射壊変ですが、これは微積の知識あれば、余裕です。
理解さえできれば、満点を狙える教科
物理は、理解すること。
とにかく、物理は点数が取れるようになるまで時間が掛かります。言葉の定義をきちんと頭に入れ、それに従って物事を考える。そして、解き方の基本をきちんと身に付けること。難問だろうが何だろうが、その基本から逸れずにやること。そういう訓練を繰り返して下さい。最初のうちは、問題なんてほとんど解けません。どんどん、出来る人に質問して、理解することを繰り返して下さい。人に聴いて、何度も、教科書や参考書を読み返して下さい。そうすると、ある日突然、スラスラと問題が解けるようになります。問題が解ける解けないかの差は、ある一定のレベルの高さを越えているのか、いないのかだけのことです。問題が解けないからと言って、実力がないわけではありませんからね。とにかく、根気よく頑張って下さい。只、受験科目として物理を使うなら、1年間で受験レベルに引き上げるのはなかなか大変なのは事実です。でも、理解してしまえば、センターレベルなら満点だって狙えます。