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前回の続きです。電池と電気分解!どちらも、電解液に極板を突っ込むわけだけど、現役の時は、この2つの違いがいまひとつ分からなかった。まずは、ここからね。
(化学)電池…電解液に2つの異なる極板を入れて、
自然に起こる(能動的な)化学反応(酸化還元反応)から、
電気エネルギー(直流電流)を取り出す装置。
極板と電解液が決まれば、起電力も決まってしまう。
まあ、この電池と呼ばれる電解液と極板が、回路の電源なのね。
電流は、正極→負極の向きに流れるよね。電子の流れは電流と逆なので、
負極⇔酸化(電子を失う)
正極⇔還元(電子を受け取る)
ということになるの。
電気分解…電解液に2つの電極(極板)を入れ、
直流電圧をかけ(電気エネルギーを与え)、分解反応(酸化還元反応)を
起こさせること。(受動的な反応)
だから、勝手に反応が起こってしまうような電解液と極板の組合せではしないの。
それだと、電池になってしまうから。
で、陽極は電源の正極と、陰極は電源の負極とつなぐので、
陽極では、電子が失われる。(そうじゃないと、電源の正極が電子を受け取れない。)
陰極では、電子を受け取る。(そうじゃないと、負極でできた電子の行き場がない。)
つまり、
陽極⇔酸化(電子を失う)
陰極⇔還元(電子を受け取る)
電池は、ボルタ電池、ダニエル電池、鉛蓄電池、マンガン電池などが良く問題に出るけど、それぞれ、正極・陰極で起こる反応を覚えておけば大丈夫。問題は、電気分解だと思う。そんなわけで、生成させる物質を表にまとめてみた。
<電気分解による物質の生成>
- 陽極の反応
電解液に ハロゲンイオンがある |
電解液に ハロゲンイオンがない |
|
陽極が Pt,Au,C |
ハロゲン生成 2X–→X2+2e– [X=Cl,Br,I] |
酸素発生 2H2O→O2+4H++4e- (4OH–→2H2O+O2+4e–) |
陽極が 上記以外 |
電極自身が溶解 Cu→Cu2++2e– Ag→Ag++e– |
- 陰極の反応
電解液に 重金属イオンがある |
電解液に 重金属イオンがない |
|
陽極が Pt,Au,C |
重金属が析出 Cu2++2e–→Cu Ag++e–→Ag |
水素が発生 2H2O+2e–→H2+2OH- (2H++2e–→H2) |
陽極が 上記以外 |
電解液の陽イオンが還元 |
この表を覚えて、問題を解くときは、各極で起こる反応を書いてしまうと良いよ。そして、もうひとつファラデーの法則だね。
<ファラデーの法則>
i[A]の電流がt[s]の時間に流れることで生成する電子の物質量は i×t/F[mol] F:ファラデー定数 9.65×104[C/mol] ファラデー定数は電子1molがもつ電荷ということ。 つまり、これをアボガドロ数で割ると電気素量になる。 電子(陽子)1個がもつ電荷=電気素量 |
電気分解では、電子が何モル流れたか?これを中心に物事を考えればよいのですよ。
だから、各極の反応を書いてしまうえば、何が何モルできたなんてのはわかってしまうのです。
余談だけど、ファラデーの法則は2つあるんだけど、ひとつは化学分野で使うこの法則。もうひとつは、物理分野の電磁誘導において起電力は磁場の変化に比例する。という法則。(こっちの物理公式もあとで解説するね。)両方とも、同一人物が発見した法則です。
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