- カテゴリ
練習や学習において、「質と量のどちらが大切か?」
結構な割合で、質の方が大切だと答える人がいる。僕の意見は、これとは違う。結論を言うと、どちらも大切だ。そのことについて話して行こうと思う。
「質とは何なのか?」「質の高い練習とは?」これを考えてみよう。まず、質の高い練習をするためには、本人のレベルが高くないとダメだ。例えば、勉強だったら、難関校の入試問題10問を解く。野球だったら、20球連続、エラーしないでノックを受ける。外角低めのストレートを10球連続、きちんと投げる。バスケットボールなら、3ポイントシュートを10回連続決める。サッカーなら、20回連続、パスされたボールをトラップして自分の足元に落とす。これらのことは、本人のレベルが低ければ、いつまで経っても終わらないよ。終わらないから、いやになって集中力もなくなる。だから、ますますやりたくなくなる。まさに、負の連鎖だ。質も量もあったものじゃない。逆に、レベルの高い人は、これらのことをこなせる。そして、終わったあと、どうするか?というと次の練習に進む。質も量も両立した形になる。だから、ますます上達するわけ。質を高めたければ、本人のレベルを上げるしかないのですよ!「下手くそは、練習して上手くなるしかない。」厳しいけど、これは本当のことだと、僕は思う。
じゃあ、「どうやって上手くなって行くのか?」ひとつひとつをゆっくりで良いから、クリアして行くことですよ。わからないことを放っておく、出来ないことを練習して、出来るようにしない。これが日常になっている人は、自分で自分の状況を厳しいものにしてしまっている。難しいことは出来なくても良いけど、何事も、出来なきゃ困るラインがある。それは絶対クリアしなきゃ、実践でどうしようもなくなってしまうのですよ。誰が困るのか?そりゃ当然、本人ですよ。そうなりたくなければ、練習するしかないのよ。その練習の中で、考えるってことをしなきゃダメだよ。考えると言うより、意識すると言った方が良いかな。勉強で問題を解くときは、「自分が何をどういう風に求めるのか?」解説を聞いているときは、「何がポイントなのか?」と強く意識して下さいね。全身全霊を傾けて、学校や塾の授業に臨めるならそれで良いけど、人間というものは疲れてしまうのですよ。はっきり言って、授業中、講師は、ずっと大切なことを言ってるわけではありませんよ。大事なことを言ってるときに集中すること。気を付けなきゃならないときに、気を付けなきゃならないことを意識する。ただ、真面目にしているだけでは、ダメなんですよ。出来るようになるためには、「何をどうすれば良いか?」それを考えたり、意識できるか?が大切なのね。それが出来るようになれば、「自分にとって、今、何をすると良いのか?」ということが、見えてくるはずだから。あとは、自分の頭の中を整理すること。「今日、学習したことは、これとこれ。これはこういうことだから、ここがポイントだ。」みたいに、自分である程度、説明とか解説をできるようにしておくと良いよ。スポーツだって同じこと、試合や練習でミスしたり、上手く出来なかったことがあったとしたら、「こういう風にしたから、ミスをしてしまう方向に行ってしまった。あそこで、ああすれば、違う結果になっていたかもしれない。あそこで、気を付けることはあれだった。次は、こうしてみよう。」と考える人と考えない人では、数ヶ月後、数年後で、大きく違って来ますよ。
ただね、レベルが低いと、何をして良いか?わからないんだよね。考えたり、意識したり、想像することもできない。誰しも、最初は、そのレベルからスタートする。自力でその状況を突破出来るなら、それで良いけど、そのレベルだと、誰かから教わった方が良い。大人の指導者でも、友達でも、いや、後輩でも、出来る人に教われば良い。そして、教えてくれる人に、どうすれば良いか?を聴けば良い。自分から、聴きに行ければ、更に良い。だって、教えてる側の人は、君が何をわかっていないのか?何が出来ないのか?完全に把握はしてないから。だから、自分から聴きに行くという姿勢は、重要なんだ。聴きに行って、「そんなこともわからないのか!」と指導者に言われたら、その人はダメな人だから。君達は、大人になったら、そうならないようにすればよい。ただね、ちゃんと教えてあるのに、君達が、それを全く理解していなかったと言うのはダメよ。指導者は、「君はこれが出来ないから、これを出来るようにしておくこと。」勉強なら、「これはこういうことだから、きちんと理解しておくこと。」とか、「最低限、ここだけは暗記すること。」とか、言ってくれるはず。まずは、その言われたことをクリアする。必ず、これはして下さい。そうすれば、必ず、レベルアップして行きますよ。勿論、個人差はあるけど、上達する。もし、言われたことをきちんとしたのに、上手くならないのだったら、それは、もう君が壊滅的にその分野で才能がないか、指導者が無能なだけね。まあ、ほとんどの場合、当人がちゃんとやっていないことが多いんだけど、本当にやってるのに出来るようにならないなら、指導者を代えた方が良いよ。
レベルが上がってくると、少しずつだけど、物事の見え方が変わって来て、視野が広がる。そうすると、他人がやっているのを見て、「あれは上手いな。自分に取り入れてみよう。これは下手だな、そうならいように注意しよう。」みたいに思うようになるから。そうすれば、練習でやるべきことが見えて来るので、やることに対して、意味と意義がはっきりする。したがって、練習にも熱が入るわけです。熱が入れば、成長も当然しますよ。そして、成長すると、必ず壁にぶち当たる。そのときは、自分だけの狭い視野で考えていると、成長するものもしなくなってしまう。だから、他人や指導者の意見を聴くことも絶対に必要だよ。それを自分に取り入れるのも、今の自分には必要ないと考えるのも、それは自分次第。今、自分がやるべきこと、必要なことを考えて行動すればよい。人の話を聴くのは、その通りにしようがしまいが、損はない。むしろ、自分の知識や引き出しが増えるわけだから、プラスだよね。決して、独り善がりになって、視野を狭くしてはいけないよ。
質は、練習してレベルアップすれば、徐々に上がって来る。いきなり、質を求めても、それは、無理だし、無謀なこと。逆に、何も身に付かない。身に付けるだけのレベルにならなきゃダメだから。質を求めれば、自然と量はこなさなければならない。質なの?量なの?とか言ってる人は、まだまだレベルが低い人です。とにかく、最初の最初は、「効率の良い練習」「質の高い練習」とか言ってはダメ。量をこなすことです。時間が掛かっても良いから、どうにか、頑張って最低限度のことはクリアできるようにすること。ある程度のレベルになって、初めて「効率」とか「質」は、求められるものですから。更に、レベルが上がれば、「質」も「量」も追求してね。高いレベルでは、それだけ競争が激しいので、厳しい世界になります。もう一度、「質か量か?」の問いの答えを言いますね。「両方です。」もう少し言うと、「最初は、量です。ある程度のレベルになったら、質を考える。そして、レベルが上がれば上がるほど、質も量も追求する。」
最後に。上手くなることは、練習量に比例するわけではないよ。考えたり、意識したりしなければ、質は上がって来ないから、練習しても、あまり上達しない。そして、練習の質が上がっても、すぐに上手くはならない。上手くはならない時期が、しばらく続く。そこで、嫌気を起こしてはいけない。それは、本当に勿体ないことだから。何故なら、ちゃんと上手くなりたい、出来るようになりたいと思って、やるべきことをやっていれば、ある日突然に、驚くほど飛躍的にレベルアップするときが来る。冗談ではなく、自分でも驚くほど、昨日までの自分が別人と思えるほど、上手くなるときが来るの。それは、質も量も両方を求めた結果だから。君達にも、それを体現して欲しい。だから、頑張って!