小学生の場合は、比較的、筆算を一生懸命してくれる。只、必要な(　)を書かなかったり、計算の順序を間違ったり、小数点の位置を間違えたりしたりもする。計算ミスというのは、練習すれば精度は上がり、少なくなる。個人差は当然あるけど、スピードも上がる。小学生に限らず、それは中学生でも高校生でも言えること。僕が、小学生のうちで計算という面で、しっかりと身に付けて欲しいと思うことは、四則演算の優先順位と必要な(　)をきちんと書く。これだけです。欲を言えば、約分・通分がきちんと出来て、分数を苦にしないようにしておくこと。これがある程度出来ていれば、中学生になってもそんなに苦労はしないはず。

　中学生で数学が苦手というか、計算が苦手な人は、(　)をきちんと書かない人が多い。いや、ほとんどが書きませんよ。逆に、数学が出来る子は、この(　)を必ず書く。苦手な子は、4+-5と書いてみたり、(4+4)÷2と4+4÷2の計算の仕方の区別がつかない。若しくは、前者の計算をしたいのに、書いている式は後者のものだったりする。こういう基礎的なことは、実は、誰かに注意されたり、「君の書き方だとルール違反だよ」と言ってくれる人がいなかったという不運があって身に付かないことが結構多い。ウチの塾では、それを見たら、当然、注意しますよ。

　小学生と中学生の大きな違いは、文字式が出てくるところ、×や÷を省略したり、文字式を扱ったり文字について解いたりすること。「文字と言うのは、何か良くわからん値で、良く分からんからとりあえずxだとかyだとか文字に置いて表しているもの。数字と同じに扱ってあげればいいだけね。」と思ってくれる計算が得意な子は、文字式の計算で、壁を感じることなく先に進める。実は、出来ない子は、前述の四則演算の基本が出来ないことが多いし、分数慣れをしていないことがほとんどなんですよね。これは、はっきり言って、練習して慣れてもらうしかない。計算のルールを自分で把握してもらうしかありません。

　そして、今回、一番言いたいことは、特に、中学1.2年生（大半が男の子）なんだけど、何故か、暗算でやろうとして、いきなり答えを出そうとする。正解なら、まあ、別に良いですよ。実際のところ、かなりの確率で間違える、しかも、遅い！簡単な暗算ならどんどんやって下さい。出来る暗算なら、時間短縮になるのでやるべきです。でも、彼らは、頭の中で混乱を起こして、答えが出てくるまで、ものすごく時間が掛かる、しかも、半分くらいは間違える！っていう評価できない結果を出してくる。本当に、これはやめて貰いたい。どうしても、暗算で解決したいなら、まずは紙と鉛筆と手を使って、計算すること自体に慣れて、基礎的な計算力を上がるべきです。学年が進めば、暗算で事が済むような数学の問題なんて出ませんよ。むしろ、計算が出来て当たり前という前提で、考え方を問うてくるんですよ。だから、君の暗算で答えを出すという行為は、あまり意味を為さないことなんですよ。でもなあ～、これを面と向かって言うと、へそを曲げちゃう子って、困ったことに、そこそこいるんですよね。

　計算力を上げたいなら、まずは量をこなして、紙を使いまくることです。書きまくることです。そうすれば、計算力は上がります。書くという行為も速くなります。テストというのは制限ある時間の中で処理して行かなければなりません。読むのが速い、書くのが速い、計算するのが速い、これができるだけでものすごく優位です。勿論、速さよりも正確さが大切ですが、不思議な事に、計算が速い人ほど間違いが少ないです。それは、計算が当たり前にできるレベルだからです。（不思議ではないんですけどね。）計算に対して、時間的にも、エネルギー的にも、余裕があるから、問題に対して考えるというところまで頭が回る。すなわち、その分、点数の上積みができる。計算が出来ない子は、テスト中に時間が無くなる。計算することだけで頭が疲れるので、頭がガス欠状態なのです。点数の上積みなんて望めませんよね。

　最初は、誰しも出来ません。僕だって、中学1年生のときの正負の数で混乱しましたよ。でも、分かるまで練習したし、自分なりに何でそうなるか？を考えましたよ。基礎的な事をしっかり、当たり前に出来るレベルまで、しかも苦も無く出来るようになるまでには、正直、時間は掛かりますし、それなりに苦労はします。でもね、それをしておくと、その先が楽なんですよ。目先の楽よりも、先々の楽を目指して、今は面倒な事をやって下さい。特に、計算が苦手な子や英単語を覚えられない子は、今、面倒なことを面倒臭いと思わず、コツコツと、目と耳と手と口を使って、自分の感覚を使って、楽しい気持ちでやって下さい。辛いと思ってしまうと、効率は悪くなります。「頑張るか、頑張らないか？ではありません。頑張るか？もっと頑張るか？だけです。」誰かが言っているのを聞いて、僕は、笑ってしまいました。（武田真治君出演のNHKの「筋肉体操」より）ポジティブに頑張って下さい。