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数学の勉強方法について
新高校1年生に向けて
多くの受験生は、数学を受験科目にします。只、数学ⅠAまでなのか、ⅡBまでなのか、ⅢまでかCも使うか?と言うのは、人それぞれです。どこまで数学が必要なのか?この事自体は、自分の行きたい大学・学部・学科や自分自身の能力を考慮した結果となるので、それは自分で決めるしかないです。ⅠAまでの人に言うアドバイスとⅢCまで使う人へのアドバイスは、当然、内容が違って来ます。求められるレベルが違うからです。だから、ここで、一概に、数学の勉強方法を受験生に向けて話しても、それほど意味はないので、今回は、新高校1.2年生に向けて話します。
これからは、文系でも数学が必要!
文系学部の学生でも数学を使うはずなのに・・・
僕の個人的な意見から、書き出してしまいますが、「経済学部や政治学部や法学部などで、数学を使わないわけがないのに、何故、受験で数学を受験科目に課さない大学が多いのか?」「経済学部なのに、複利計算もできない。統計学の基礎知識もないのに、どうやってマーケティングするの?需要曲線や供給曲線のグラフを扱うのに、微分積分ができなくてどうするの?」「政治学部や法学部なのに、命題がわからない。必要条件、十分条件を理解していない。それで、法律の解釈をどうするの?」これが僕の長年の疑問のひとつです。本当に、意味が分かりません。数学が苦手な受験生からすると、楽なのかもしれませんが、経済学、政治学、法学を深く学ぶ上で、数学は必要不可欠なはずなので、高校レベルの数学の概念を理解していないと、大学に入ってから、かなり苦労するだろうと思います。ならば、試験科目として必須とした方が、学生のレベルは上がると考えます。
文系でも数学必須化の流れ
実際に、早稲田大学などは、政経学部の入試において数学を必須化しています。この流れは、他の大学にも波及するでしょう。数学と言うのは、要求されるものは違うけど、ほとんどの学部で必要とされるものです。だからこそ、高校レベルの数学は、ある程度、知っておいてもらいたい。そうじゃなければ、大学で学びたい内容を学ぶ上で、支障を来すのです。大学の勉強は、暗記ではなく、「理解」が中心です。数学は、理解するための単なる「道具」になります。(数学科は、話は別だと思いますけど…。)その道具をある程度は、きちんと扱えないと、先に進めなくなるのです。そういう理由で、早稲田大学は、政経学部の入試で、数学必須化に舵を切ったのだと思います。だって、そんな高校レベルのことを大学に入ってから、一から勉強していたんじゃ、時間が勿体ないですもの。高校数学を学ぶために、大学に行くわけじゃないですよね?学びたい事を学ぶために、大学に行くのですよね?そこで、高校数学の知識が必要と言うなら、高校で学んでおいた方が、どう考えても得策ですよ。
世の中での「数値化」の流れで、数学の必要性がわかる
そして、今回の新型コロナ感染拡大防止対策でも見られるように、「モデル化」が一般的になって来ました。これは、条件を数式に当て嵌めて、「こういう場合ならこうなる。条件を変えれば、こうなる。」とかを「数値化」するわけです。この数値化は、以前と比べれば、あらゆる分野で日常化しています。数値を扱うには、当然、数学が必要です。そして、その数値化されたものを、どう捉え、どう考え、どう使うのか?も数学が必要になります。これからの世の中は、理系だから、文系だから、ではなく、数学を知っている者、学んでいる者が、その強みを発揮できるように、更になって行くと思われます。10年位前に「数学が得意な人と不得意な人で、年収の差が平均約100万円くらいの差がある。」なんて話を聞きましたが、今は、それ以上だと思います。お金だけの話ではなく、物事を理解する、整理する、分類する、優先順位をつけるなど、これらの行為は数学と言う学問が大きく関与していると思います。
数学ⅠAの内容を軽く話そう。
「数と式」と「2次関数」が山場です。
数学ⅠAでは、「数と式」「2次関数」「図形と計量」「データ分析」「場合の数と確率」「整数の性質」「図形の性質」と学習を進めますが、山場は、「数と式」と「2次関数」です。この2つの範囲が出来ないと、数学ⅡBやⅢCに繋がりません。「数と式」では、計算式の基本を学びます。何度も他の記事で言っていますが、計算はできて当たり前にしておかないと、厳しいものがあります。逆を言うと、計算が速く正確にできるだけで、試験ではものすごく有利です。因数分解と絶対値記号の扱いが、きちんとできれば、良いでしょう。そして。「2次関数」は、全ての関数の基本です。関数の基本をここで学ぶのですが、「場合分け」の考え方を理解することが大切です。これができないと、この先の全ての数学範囲のことが出来なくなります。「2次関数」が、一番の山場です。ここを乗り切れば、あとは何とかなります。
「2次関数」の範囲を乗り越えられれば!
勿論、他の範囲も大切ですが、「データ分析」「整数の性質」「図形の性質」は、数学ⅡBやⅢCとそれほど関連性はありません。最悪、受験生になってから学習しても、どうにかなります。「図形と計量」では三角比、「場合の数と確率」では、順列や組合せの計算を学びますが、「2次関数」を乗り越えたなら、それほど難しく感じることはないと思います。
目の前の授業が大切。そして、計算力を鍛えよう。
1年生でやって欲しいことは、受験を意識することではなく、目の前の授業に取り組んで、ひとつひとつをきちんと理解することです。難しいことはしなくて良いです。教科書レベルのことを、確実にものにすることです。そして、計算力を鍛えておくことです。これが、一番重要なことかもしれません。数学は、考える学問です。考える以前に、計算で疲れてしまったら、もう考えられません。「数と式」「2次関数」で、一生懸命、計算して下さい。
数学は暗記だけでは無理な教科
数学は、「筋道を考えること」と「筋道を理解すること」
中学校までの数学なら(僕は、正直、中学校の数学は算数だと思っている。)公式を覚えて、そこに数値を代入して、そこそこの計算が出来れば、平均点ぐらいは余裕で取れたと思う。でも、公式を覚えただけのレベルでは、ほとんどの大学入試では通用しない。公式と言うのは、問題を解く上での道具ではあるが、その道具がどういうものであるのかは、知っておかないと、応用が利かない。やはり、公式は、必ず1度は自分で導出して欲しい。(実は、これをすると他の範囲の復習になったりする。)そして、答えが出るプロセスを大事にして下さい。問題を読んで、考えて、答えまでの筋道をある程度、付ける癖を付けて欲しいです。解けなくても、解答を見て、どういう考え方、筋道で進んでいるのかを自分が納得できるまで考える癖を付けて欲しいです。そういう行動をしないと、記述式の試験に対応できません。数学は、問題に対する答えが大切ではなく、問題を解く上での筋道、アプローチ、考え方が重要なのです。理解するまで手間がかかる教科ですが、そのハードルを越えると一気に、自分の実力で解ける問題の数が2倍3倍、いや、10倍くらいになります。そういう感覚は、自分に自信を与えてくれますよ。中学生の時に、数学が苦手だったとしても、高校で、数学が好きになり、成績を伸ばした生徒を何人も見ています。中学校までの数学と、高校以降の数学は別物ですので、苦手意識を最初から持たないで下さいね。