TOP > 新着情報 > le Journal > 第2号 東伊豆にて

第2号 東伊豆にて

カテゴリ

5/19(日)から5/22(水)の4日間、フリーカメラマンを生業としている義弟の個展の手伝いとして東伊豆へ行った。東伊豆は、海を見れば、眼前に迫る広大な太平洋、振り返れば、崖のような山が威圧して来る場所である。これは、伊豆半島の形成がそうさせている。太平洋沖で出来た火山島がフィリピン海プレートに乗り、数千年、数万年かけてユーラシアプレートを押し上げて火山島の集合体となり、半島を形成している。図を見てわかる通り、伊豆半島はフィリピン海プレートとユーラシアプレートと北米プレートの境界にあり、駿河トラフに位置する。地質学的には、これほどプレートが入り組んだ場所は珍しい。プレートや火山の活動により、地震や噴火が起き、危険を伴う一方で、温泉や景観により我々を楽しませ、地域の産業にも利用されている。まさに、自然の脅威と恩恵である。

そのため、東伊豆には絶景と呼ばれる場所が多い。そのうち、大室山と大淀・小淀という観光地に立ち寄った。大室山は、プッチンプリンのような形状で、(地質学的にはスコリア丘という。)約4000年前の噴火口はすり鉢状で、お鉢巡りと呼ばれるように、ぐるりと一周できる。この大噴火の際、南東側の相模灘に溶岩が流れ込み、冷却され、城ケ崎海岸が形成された。大淀・小淀は、その城ヶ崎海岸の一部である。淀とは水が溜まる場所のことであり、大小2つの潮溜まりが、柱状節理の窪みに潮の満ち干により出来る。柱状節理とは、玄武岩質の岩石がマグマの冷却と伴に収縮するため、冷却面に対し垂直に亀裂が走り、六角柱状の岩石が規則的に並んだものである。海と岩の対比は素晴らしく、何度もシャッターを切ってしまった。

観光地の解説になってしまったが、ここで感じたことは、海なし県特有の海に対する憧れとコンプレックスだった。人は誰しも、自分にはないもの、できないものに憧れる傾向がある。憧れるからこそ、自分にないもの、できないものにコンプレックスを感じるのであろう。相反する感情を抱くので、このバランスを上手く保てないと、捻じれや歪みで、自身をコントロール出来なくなり、辛く感じる様になってしまう。自分がそうなりたいという理想と現実とのギャップが自身の心身を硬直させてしまうこと、それによって気力が萎えてしまうことは、少なからず誰しもが経験することであろう。

コンプレックスは誰にでもある。私にも当然ある。具体的に挙げたら限がない。自身のコンプレックスに潰されてしまうなんて、そんな馬鹿な話はない。自分を嫌いになって生きていても、楽しいはずがない。許せるコンプレックスには目を瞑ってしまって、自分がやりたいこと、やらなければならないと思うことに邁進するべきだ。その中で、乗り越えなければならないことは生じてくる。そこで諦めて辞めてしまって、また新たなコンプレックスを作って自分を益々嫌いになってしまうか、一旦休んでも、立ち上がって前へ進み、自分が出した成果に少しだけでも自信が持てるか、この差だけの違いだと思う。

大きな成功を望む必要はない。理想をいきなり求めても、それを実現させるだけの実力がないのだから。力のない者は、現状の自身の能力を受け入れて、焦らず力を着けて行けば良い。時には休んでしまっても、理想を抱き、心を腐らすことがなければ、それで良いと思う。なりたい自分をイメージして、そこに向かって行ければ、それだけで人生の勝者であろう。受験生の場合、限られた時間の中で成果を上げなければならない。結果を心配するよりも、今やるべきことを焦らずやって欲しい。まだ、君達には十分時間がある。この言葉は、受験生だけでなく、私を含めた全ての大人にも伝えたい。

Jun 2019 Total Academy塾長 齋藤勉

富岡市の総合学習塾
トータルアカデミー
total-academy.net


〒370-2344
群馬県富岡市黒川1807-16
TEL:0274-63-8132

お問い合わせはこちら