TOP > 新着情報 > le Journal > 第4号 古代蓮の里にて

第4号 古代蓮の里にて

カテゴリ

 先日、埼玉県行田市の「古代蓮の里」に往訪した。蓮の花が旬で、来訪する人の数も、平日に関わらず多かった。写真は、私が撮影したものであるが、数多くの種類の蓮が見事に咲いていた。腕があるわけではないが、カメラマン魂に火が付き、度々のレンズ交換をしながら、数百回とシャッターを切った。ここ「古代蓮の里」で強く感じたことは、二つあった。

 一つ目は、レンズが違えば被写体が同じでも、全く違う見え方になることを再認識したことである。Le journalの第一回で、「被写界深度」という言葉の話をしたが、被写体とレンズの距離、取り込む光の量が違うことで、驚くほど蓮の様子が異なって見える。どちらが良い悪い、ということではない。最近よく聞く「みんな違って、素晴らしい。」という言葉を思い出した。でも、そこで終わっては、話はつまらない。それぞれの個性を生かすためには、特性を知り、相応の場面で使うことが、使う側の役目であり、上手くできないことを道具のせいだけにするのは、間違いである。勿論、道具に良し悪しはある。でも、その中で出来得ることを工夫して、何とか形にするのが、カメラマンとしての私の役目であり、楽しみであると考える。

   焦点距離 上:35㎜ 下:600㎜

 このことは人にも言えることである。人、それぞれ得手不得手、特徴があり、性格も考え方も違う。指導者やリーダーは、自分が扱いやすい型に人を入れようするのではなく、一人一人の特性を見て、どう戦力として育てていくのか?そして、その戦力をどう使うのか?そのビジョンを明確にして、一人一人を納得させ、全体にも、個人個人にも、利益や喜びをもたらすことを考えなければならないと、改めて思った。

 これは、多くの著書で述べられている求めるべきリーダー像であるが、これを実現するのは、正直難しい。まず個人の特性を把握して適材適所で生かすには、経験と洞察による分析能力がないと無理である。そして、優秀である人ほど、自分が正しいと思いがちであることに落とし穴がある。指導者やリーダーになる人は、それなりの権力を持ち、優秀であるが故に、一部の者は、他人を自分の型に嵌めようとしてしまう傾向に陥りやすい。これを避けるには、第三者の目を持つこと。先入観、好き嫌いの感情を捨てて、事実だけを見ることを意識することである。そうしなければ、戦力になるはず人材が持つ能力も潰してしまうし、リーダーもその組織も腐ってしまうことになる。又、ビジョンを明確にするには、地位や権力によって屈服させるのではなく、リーダーがきちんと勉強して、相手から尊敬されるように努力することが肝要である。これが出来れば、相手はきちんとこちらの話を聴いてくれる。只、話を聴こうとしない場合もある。それは、相手が悪いのではなく、リーダーである自分の力量が無かったから、尊敬されなかっただけである。「組織というのは、リーダーの器以上のものにはならない。」この言葉を、レンズ交換をし、ファインダーを覗いた時に思い出したのである。


 二つ目であるが、行田市は、ここ十年ほど「田んぼアート」を開催している。写真を見て頂ければ分かる通り、見事である。2019年ラグビーワールドカップをモチーフにしたものであるが、実に手が込んでいて、迫力を感じる。展望台の盛況ぶりもなかなかであった。しかし、行田市のホームページなどで調べれば分かるが、最初の数年の田んぼアートは、正直大したものではなかった。恐らく、客足も鈍かったであろうと推測できる。継続することで、田んぼアートのレベルが上がり、人が集まり、更に質も高まり、更に人が見に来るという相乗効果が見られた場所である。最初は、苦労もしたし、惨めな思いもしたであろう。ここまで立派に成長させた人々の根気は賞賛に値する。

 私が、ここで言いたいのは、「継続することが大切であり、結果をすぐに求めようとしてもダメだ。」ということだ。塾でも、「すぐに点数が上がる方法、効率良く学力がつく方法、結果がすぐ表れる方法で指導してくれ。」という親子が稀にいる。確かに、気持ちは分からなくは無い。中学生レベルであれば、「ここをきちんと覚えて!」と言えば、要領の良い子ならば、定期テストでは、それなりの点数が取れるようにはなる。でも、それが、その子の真の学力か?というとそうではない。付け焼刃で、身に付いていないのだ。何故なら、テストが終われば消えてしまう記憶であり、ただ暗記しただけなので、難しい問題には対応できない。70点止まり程度の伸びしろのない学力であり、私から言わせて貰えれば、何の楽しみも意味もない学力だ。      

田んぼアート        

 本物の力を付けたいなら、勉強に限らず何でもそうだが、直ちに結果など求めるものではない。続けることが大切なのだ。自分が出来る範囲で良いので、気長に続ける。モチベーションを落とさずやり通す。長く物事をやるというのが、実は一番難しい。このことを再認識させてくれた。

 私に二つの重要なことを喚起してくれたこの日は、有意義なものであった。私は、何処か出掛けるとき、何か塾経営で役に立ちそうなことはないか?面白そうなことはないか?ヒントは無いか?などの視点を忘れず持つ様に、意識している。

 皆さんも、遊びに行くときは、心のアンテナを立てて見ては如何だろうか?今まで見えなかったものが見えてくるかも知れない。私も、こう意識するようになってから、多くの事が見えたり、感じたり出来るようになったので。


   総合学習塾Total Academy塾長 齋藤勉

 

富岡市の総合学習塾
トータルアカデミー
total-academy.net


〒370-2344
群馬県富岡市黒川1807-16
TEL:0274-63-8132

お問い合わせはこちら